篠田太郎《ニセンニジュウネン》、さいたま国際芸術祭2020/Photo:丸尾隆一
一貫して人間と自然の関わりを深く問い続ける篠田太郎が手掛ける作品は、様々な素材によるインスタレーションやサイトスペシフィックなプロジェクトなど多岐にわたります。
本作「ニセンニジュウネン」は、会場となる旧大宮区役所・南館1Fの場所への応答として構想されたものです。ここは、福祉課、高齢介護課、支援課、児童福祉課のあるフロアでした。「その場所はすでに問題を提議していた・・・」と、篠田が言うように、現在わたしたちが直面している様々な課題を象徴するような場所という捉え方もできます。戦後の復興から高度成長期、バブルの時代を駆け抜けた後、景気の低迷、少子高齢化、超高齢化社会を迎え、東京一極集中がさらに加速、経済格差の広がり、温暖化や異常気象、自然災害が頻発するなど、常に変わりゆく状況のなか、負のスパイラルに陥った私たちは創造的に変革を起こせるのでしょうか?
天井から砂が振り続け、元区役所の建物内が砂海と化していく様は、数十年後もしくは数百年後の未来を予見するかのような光景でもありますが、砂漠は死をイメージするだけでなく、その先の生の復活につながっていくことを秘かに暗示しているのかもしれません。
日時
2020年10月17日(土)-2020年11月15日(日)月曜休館
12:00-18:00(最終入場17:00)
会場
旧大宮区役所1階
さいたま市大宮区大門町3-1
※「大宮駅」下車、東口より徒歩で約5分