名称

さいたま国際芸術祭2020

開催期間

2020年10月17日(土)-11月15日(日)※月曜休場

(2020年10月3日(土)から作品映像配信)

開場時間

12:00-18:00(最終入場17:00)

鑑賞料

無料(要事前予約)

テーマ

「 花 / flower 」

会場

メインサイト 旧大宮区役所
アネックスサイト 旧大宮図書館
スプラッシュサイト 宇宙劇場、
大宮図書館、
埼玉会館、
鉄道博物館 ほか

主催

さいたま国際芸術祭実行委員会

展開内容

(1) アート・プロジェクト

(2) 市民プロジェクト

(3) 連携プロジェクト

目的

(1) 「さいたま文化」の創造・発信

(2) さいたま文化を支える「人材」の育成

(3) さいたま文化を活かした「まち」の活性化

開催テーマ

©遠山 昇司

「 花 / flower 」

子供たちが田んぼの中の道を歩いています。
咲き頃を終えた菜の花と今まさに満開の桜。
これから、お花見に向かうのでしょうか。

その土地で咲く花。季節の花々。花は美しい。
人は、花を惜しみ、花を愛でてきました。
花は、古今東西の様々な芸術表現のモチーフとして人々の心を魅了し、時には人生そのものと重ねられ、花が咲く花壇や庭は、人々の理想を反映する存在でもあります。
生れた時の喜びに、人生の節目に、そして死にゆくときも花があります。
一見、ありきたりのように思える花は、その親しみやすさと同時に多様な芸術表現を様々な形で取り入れて提示することができる重層的な存在でもあります。

種を蒔き、芽が出る。
苗を育て、花が咲く。
花が散り、種が残る。

生ける花の循環は、私たちの生活に命を吹き込んでくれます。
花をモチーフとして捉えるのではなく、テーマとして考えること。
完結したオブジェや調度品としての花ではなく、花の存在と関係性に目を向けることで花のある風景が浮かび上がってきます。
道端で思いがけず出会った小さな花も誰かに贈る花束も満開の桜へ向かう子供達も人の生活と人生の中で生まれた花のある風景です。

花々は、風や鳥によって海を越えてきました。
蝶や蜂によって野山を超え土地と出会い、花を咲かせることで新しい風景を生み出してきました。全ての媒介者によって、花のある風景は生み出されてきたのです。
さいたま国際芸術祭の舞台となるさいたま市には、川を越えて、山を越えて、そして海を越えて国内外のアーティストが訪れることになります。
彼らは、風や鳥であり、蝶や蜂であり、花のある風景を生み出す媒介者です。
アーティストが展開する様々な花の表現は、さいたま市の新しい風景となるでしょう。
さいたま国際芸術祭2020は、個別のプロジェクトの足し算ではない総合的な芸術の場として、まさに花壇が街の中に作られていくように、さいたまならではの花が咲く芸術祭を目指しています。

ディレクター 遠山昇司(映画監督)

ロゴ・コンセプト

さいたま市に4月、咲き誇る桜。
そして、都市と自然の織り交ざる土地に散見できる花々。
さいたま国際芸術祭のテーマでもある「花」。
2020年にはさまざまな花(アートワークや風景)が生まれることでしょう。

その花、ひとつひとつを味わうように渡り飛ぶ「蝶」をイメージしたマークをつくり、さいたまが、芸術と生活がひとつとなった「アート・サイト」に見えてくるように、英文では「ART Sightama」と愛称をつけました。

ARTSightamaをつなぐものとして、
さらには、都市と自然、芸術と生活、作家と市民をかけ算していく風景の中の記号として、蝶のマークをそれらの真ん中に置いています。

サンダル圏内で見られる芸術祭で、
この春、さいたまに、たくさんの花を見つけてほしい。

そんな思いをもち、観賞する人々の視点に立ち、会期中もこの蝶のロゴマークが、埼玉県の県蝶「ミドリシジミ」のシアンブルーのような輝きをもって花から花へ飛び回り、さいたま国際芸術祭の風景を色づけていきます。

さいたま国際芸術祭実行委員会・運営組織

実行委員会会長

清水 勇人(さいたま市長)

ディレクター

遠山 昇司(映画監督)

1984年熊本県生まれ。映画監督、プロデューサー。
早稲田大学大学院国際情報通信研究科修士課程修了。
2012年、初の劇映画『NOT LONG, AT NIGHT -夜はながくない- 』がアジア最大級の国際映画祭、第25回東京国際映画祭<日本映画・ある視点部門>に正式出品され、高い評価を得る。最新作『冬の蝶』 は第33 回テヘラン国際短編映画祭アジア・コンペティション部門にてグランプリを受賞するなど海外でも高い評価を得ている。アートプロジェクト『赤崎水曜日郵便局』では、局長・ディレクターを務め、熊本県津奈木町にある海に浮かぶ旧赤崎小学校を再利用した本プロジェクトは全国で話題となる。同プロジェクトは2014 年度グッドデザイン賞を受賞。

さいたま国際芸術祭2020が目指すところ-

目指すところは、常に遠くにあります。
ならば、初めに遠くの風景を想像してみることから始めましょう。

Art Sightama-さいたまを、芸術と生活がひとつとなる「Art Sight -アート・サイト-」に-

アート・サイトのサイトは、場所を意味する「Site」ではなく、目の前に広がる風景を意味する「Sight」にしています。
さいたま市は、人口130万人を超える日本を代表する生活都市です。
毎日、多くの営みが目を覚まし、そして眠りについています。
生活の循環によって浮かび上がってくる風景こそが生活都市「さいたま」です。
Art Sightamaは、まさにアートの力と生活の積み重ねによって浮かび上がる風景でもあり、ステレオタイプではないさいたまへの眼差しを発見する機会でもあります。

まずは、誠実にさいたまを見つめ、耳を傾けること。
私自身、ディレクターに就任してからさいたまへの眼差しが変化しました。
それは、ひとつの風景との出会いから始まりました。手前に流れている川は、さいたま市内を流れる芝川。
遠くに見えているのはさいたま新都心のビル群です。
そして、この場所はかつて海でした。
自然と都市の両者が共存し、古代の姿を呼び起こさせる風景です。

©新津保建秀

長い時間をかけて生み出された生活の証とも言えます。
私は、度々この場所を訪れるなかで、答えではなくひとつの問いを導き出しました。
それは、“生活都市「さいたま」はアートに何をもたらすのか”という問いです。
少なからずその土地に暮らす者は、その土地から何かを享受しています。
それはさいたま市を訪れるアーティストも同じであり、私自身もその一人です。
生活都市「さいたま」を通じて作品やプロジェクトが展開され、Art Sightamaが浮かび上がる。
全国各地でビエンナーレやトリエンナーレといった国際展や芸術祭の数々が立ち上がるなかで、さいたま国際芸術祭は、“アートは地域に何をもたらすのか”という問いではなく、その逆の問いを考えることに意義があると考えます。
同時にこの問いに向き合うことは、生活都市「さいたま」自体のシビックプライドの醸成へとつながり、その誇りこそが2回目となる芸術祭と継続の原点となりえます。
その土地からの享受に喜びを感じ、その実感が生活へ還元されていく芸術祭。
自分が住んでいる街が「ただの生活圏」ではなくなる瞬間。

私たちは今まさにキュレーターとコーディネーター、そしてアーティストと共にその風景を作ろうとしています。
多彩な人材と発想の参加によって市民との関係を作りながら、一過性のイベントではない想像と実感によって生み出される体験を創出していきたいと考えています。

目指すところは、常に遠くにあります。
それは同時に、これから見えてくる風景であり希望でもあります。

さいたま国際芸術祭2020-since 2020

さいたま市は、日本を代表する「生活都市」です。
新型コロナ感染症の拡大は、そこに住む人びとの生活様式そのものを一変させてしまいました。世界中を巻き込んだこの状況に、本芸術祭は直面いたしました。

市民をはじめとするたくさんの方々に関わっていただくことを重視したコンセプトの実現が困難になる中、積み重ねてきた試みを生かし、新しい芸術祭のあり方と鑑賞機会を創出するため、「オンライン」と「 オンサイト」という2つのスタイルを設けることにしました。

見慣れたものに対しての新しい視点、生活を続けるための掛け替えのない存在、生き残るための手段、芸術の力は私たちの記憶に刻まれるはずです。
アートの場での体験を享受することで喜びを感じ、その実感が生活へと還元され続けていくこと。この風景(sight)を皆で分かちあうために、未来へと続く持続可能な芸術祭が始まります。

私たちは未来を発見することができます。
そして、未来から発見されることもあるのです。
そのためには、続くことが必要です。
持続可能な芸術祭とは、長い変化への挑戦とも言えるでしょう。
困難な状況だからこそ、「花」という本芸術祭のテーマが未来への道標となってくれることを信じています。

当初の計画で参加を予定していたアラン・カプロー 快快 マーク・テ 武田力 菅原直樹/OiBokkeShi各氏のプロジェクトは、三密を避けるための安全策を検討した結果、遺憾ながらも中止という決定に至りました。

最後になりましたが、参加アーティストをはじめ本芸術祭の実現のために力を尽くしてくださったすべての方々に深く感謝申し上げます。

参与

芹沢 高志(P3 art and environment 統括ディレクター)

ビジュアルディレクター兼キュレーター

田中 偉一郎

クリエイティブ・ディレクター/現代美術作家。2000年より、数々の企業のブランディングからアウトプットまで手がける一方で、ノーメッセージを旗印に数々の作品を発表。日経広告賞、広告電通賞、日本パッケージデザイン大賞、六本木クロッシングオーディエンス賞など受賞多数。著書に「スーパーふろくブック」(コクヨ、2007)、「やっつけメーキング」(美術出版社、2010)など。Eテレ「シャキーン!」に出演中。

キュレーター

雨森 信

大阪をベースにフリーランスのキュレーターとして活動。2003年より大阪市文化事業の一環として「Breaker Project」を始動し、現在も西成区を拠点に地域密着型のアートプロジェクトに取り組むほか、「BEPPU PROJECT 2010」、「札幌国際芸術祭2017」などで、キュレーションやマネジメントを担う。社会とリアルに関わるアートの実践をとおして、新たな表現領域を開拓するとともに、現代社会における芸術の役割について探求する。

大高 健志

大学卒業後、外資系コンサルティングファームに入社。戦略コンサルタントとして事業戦略立案、新規事業立ち上げに携わる。その後、東京藝術大学大学院に進学し、創作と資金とのよりよい関係性構築の必要性を感じ、2011年にクラウドファンディングプラットフォーム「MotionGallery」を立ち上げ、2015年グッドデザイン・ベスト100を受賞 。2017年にマイクロシアタープラットフォーム「popcorn」を開設。

菊池 宏子 (インビジブル)

東京都生まれ。ボストン大学芸術学部彫刻科卒、米国タフツ大学大学院博士前期課程修了。米国在住20年を経て、2011年、東日本大震災を機に東京に戻り、アーティストとしてNPO法人インビジブルのクリエイティブ・ディレクターを務める。アート・文化の役割・機能を生かしたエンゲージメント戦略、コミュニティ開発、地域再生事業に多数携わる。

武田 知也

神奈川県生まれ。舞台芸術プロデューサー。2008年から国際舞台芸術祭「フェスティバル/トーキョー」の立ち上げに事務局スタッフとして関わり、2011年-2013年に制作統括。2014年から京都市の公立劇場ロームシアター京都の事業・企画を担当。「KYOTO EXPERIMENT京都国際舞台芸術祭」(2014-)「搬入プロジェクト―京都・岡崎計画―」(2016)、「CIRCULATION KYOTO」(2018)などの制作、プロデュースに携わる。2018年からはフリーランスとして、舞台芸術と社会のつながりを作るさまざまな活動を行なっている。

浜谷 辰彦

1975年石川県生まれ。アートディレクター。東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒。さまざまなクライアントのアートワークやコーポレートアイデンティティ開発、スタートアップ企業のブランディング作業などを行なうかたわら、スポーツを応援するグラビアアイドルユニット「グラチア!」をプロデュース。

林 曉甫 (インビジブル)

立命館アジア太平洋大学卒業。NPO法人BEPPU PROJECTに勤務し、別府現代芸術フェスティバル2012「混浴温泉世界」の事務局長を務めるなど、公共空間や商業施設などにてアートプロジェクトの企画運営を実施。2015年に菊池宏子と共同でNPO法人インビジブルを設立。「見えないものを可視化する」をコンセプトに、アートを触媒に社会を彫刻し続けるクリエイティブプレイス(CreativePlace)としての活動を展開。2017年より女子美術大学にて非常勤講師を務める。

三浦 匡史

NPO法人都市づくりNPOさいたま理事・事務局長、および個人事務所 地域生活デザイン代表。市民参加を促進するためのワークショップの開催、シンポジウムの企画・運営、さまざまな市民団体や個人とのネットワークを形成するためのつなぎ役として活躍し、市民と行政を仲立ちするまちづくりNPOの活動を行なっている。さいたまトリエンナーレ2016ではプロジェクトディレクターを務めた。

公募キュレーター

戸塚 愛美

1992年千葉県生まれ。武蔵野美術大学芸術文化学科卒業。キュレーター。北千住エリアを中心とした地域型アートプロジェクト「アートアクセスあだち音まち千住の縁」事務局、一夜限りのアートイベント「六本木アートナイト」実行委員会事務局など、地域に根ざした芸術文化事業に携わる。ライフワークとして「なぜその人がその人たりえるのか」という問いについて思考している。

市民プロジェクト・キュレーター

松永 康

1957年、埼玉県に生まれる。1981年、武蔵野美術大学卒業。埼玉県立近代美術館学芸員、国際芸術センター青森総括主任学芸員、横浜美術短期大学(現・横浜美術大学)非常勤講師、井(Jin)ART画廊(上海)芸術監督を経て、現在、NPO法人コンテンポラリーアートジャパン理事、武蔵野美術大学非常勤講師。2008年より「さいたま美術展<創発>プロジェクト」を展開している。

市民プロジェクト・コーディネーター

浅見 俊哉

美術家・写真作家・造形ワークショップデザイナー。1982年東京都葛飾区生まれ。現在埼玉県在住。2006年文教大学教育学部美術専修卒業。
「時間」と「記憶」をテーマにカメラを使わない写真作品(フォトグラム)を制作する一方、その魅力を伝えるワークショップを全国各地で開催する。「つくること」と「つたえること」の両輪を持って活動する事が自身の芸術活動であると考え、制作者と鑑賞者の創造力を双方向に生み出す「場」や「時間」を精力的につくりだしている。さいたまトリエンナーレ2016ではSMF学校のコーディネーターを務めた。

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