梅田哲也《O階》、さいたま国際芸術祭2020/Photo:丸尾隆一
美術、音楽、舞台芸術など既存の領域をこえて活動する梅田哲也は、独自のメソッドを探求し、様々な場所において、そこでしか成立し得ない状況をつくっていく作家です。これまでも、会場となる空間を注意深く観察し、構造や機能、文脈を読み解き、その場所にもともとある状況に着想を得たサイトスペシフィックな表現を展開してきました。
本芸術祭にて発表する「O階」は、2014年に大阪市西成の山王地区で開催された徘徊型の個展「O才」の続編的に位置付けられています。「O才」では鑑賞者の全員が別々のルートを廻り、まちなかのところどころ準備された(あるいは準備されなかった)風景と出会い、ときに自分自身が別の鑑賞者に対して(無意識的に)作品の加担者であるかのように振る舞ってしまうこともあります。
「O階」では、役割を終えた旧大宮区役所の建物そのものが持つ構造、地下空間にかつてあった食堂や書庫、焼却炉、ロッカー室などの痕跡、それらの用途が意図的に読み替えられ、地上の基準とは少し異なる別世界の営みが出現します。また鑑賞者の動きも含めたさまざまな事象のレイヤーを重層的に取り込みながら、小さな体験を積みあげた先に表出する固定観念のゆらぎ、もう一つの秩序で構成される「中心のない世界」を生み出していきます。
映像作品『O回』
『O階』では、会期中の毎週金・土・日・祝日、複数名のガイドが案内するパフォーマンス・ツアーがおこなわれ、平日の展示では立ち入ることのできないエリアを含めた作品の全貌を鑑賞いただく予定でした。『O回』は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止となったパフォーマンス・ツアーを、当時の状況も踏まえながら映像作品として再現したものです。ツアー内容は、ダンサーで振付家の捩子ぴじん、福留麻里の協力を得ながら、さいたま市およびその周辺在住の皆さまと共におこなったワークショップの内容を元に構成しています。
撮影:渡邉寿岳
録音・整音:中原楽
出演:福留麻里、捩子ぴじん、山田うん
和田晋侍、篠田千明
ほかエキストラのみなさま
日時
2020年10月17日(土)-2020年11月15日(日)月曜休館
12:00-18:00(最終入場17:00)
会場
旧大宮区役所地下1階
さいたま市大宮区大門町3-1
※「大宮駅」下車、東口より徒歩で約5分