川井昭夫《Plant Circle - VI 草上の終焉》、さいたま国際芸術祭2020/Photo:丸尾隆一
1970年代から植物を主題とした絵画の制作を始めた川井昭夫は、植物的な(無作為の)表現を追求するアーティストです。本芸術祭で発表するのは、麻布のドローイング3点と川井自身がコレクションするアガベ(リュウゼツラン)6株によるインスタレーションです。
ドローイングは、麻布の地色に限りなく近づけた色で「織り糸に寄り添いながら」線を描き、その表面に痕跡だけを残しています。この禁欲的な作業を繰り返す結果として生み出される絵画と、圧倒的な存在感を放つアガベは、大きな隔たりがあるように見えますが、アーティストがただ筆跡を残す行為と、日々光合成を行い細胞を増殖するアガベの営みに通底する作家の「時間」に対する眼差しが示されているのです。
砂漠で自生するアガベは、数十年という限られた命の最後の瞬間に一度だけ花を咲かせ、子孫を残して枯れる植物です。世界的なコレクターでもある川井は、200種類ものアガベを収集し育てています。屋上庭園には、数千株もあるなかから大きく成長した複数種のアガベが放射状に配置されています。昨年秋から花芽が伸び始めた1株は今年8月に花を咲かせました。その株は花が枯れたあと種をつけ、その生を全うする最期の時間をみなさんと共有することになります。
日時
2020年10月17日(土)-2020年11月15日(日)月曜休館
12:00-18:00(最終入場17:00)
会場
旧大宮区役所3階
さいたま市大宮区大門町3-1
※「大宮駅」下車、東口より徒歩で約5分